避妊・去勢手術spaying neutering
避妊・去勢の目的

避妊・去勢手術の目的は、動物の健康を維持し、家族の一員として人間社会の中で長く幸せに暮らすこと、そして、望まれない不幸な動物を増やさないことです。犬や猫が人と一緒に暮らすためには、人間社会との共存が必要です。人との大きな違いの一つが、犬や猫が多産であるということで、毎年殺処分される犬猫の多さからわかるように、社会的に大きな問題となっています。残念ながら、私たちの力ではこの子たちすべてに幸せな暮らしを提供してあげることができません。また、避妊去勢を行わないことでしつけが難しくなり、問題行動が生じて人と一緒に暮らせなくなるケースも少なくありません。このような悲しい事態を避けるためにも、避妊去勢手術は必要とであるといえます。
避妊・去勢のメリット
避妊手術
- 望まない妊娠を防ぎ、殺処分される命を無くすことができます。
- 乳腺の腫瘍や、子宮蓄膿症・卵巣腫瘍などといった子宮・卵巣の病気を防ぐことにつながります。
- 発情時に見られる、鳴き声などの困りごとが軽減されます。
- 犬の場合は、発情出血がなくなります。
去勢手術
- 性格が穏やかになり、攻撃性の軽減が期待できます。
- 犬のマーキング行動と、猫のスプレー行動(尿をあちこちに吹き付ける行為)が抑えられます。
- 縄張り意識が軽減し、喧嘩が少なくなります。
- 精巣・前立腺の病気を防ぐことにつながります。
手術に最適な時期

子犬・子猫
避妊手術と去勢手術、ともに生後6~7ヶ月に起きる初回発情前が目安です。犬と猫いずれも、メスの場合は、初回発情前に避妊手術を行うと、乳腺腫瘍の発症を高い確率で予防できることがわかっています。またオスの場合、初回発情前に手術をすることで、犬のマーキング行動、猫のスプレー行動の癖がつきにくいといわれていますので、長い時間を一緒に暮らす上での困りごとの軽減が期待できます。

成犬・成猫
手術はいつでも行うことができますが、メスは普段より手術中の出血が多くなるため、できれば発情中を避けたほうがいいでしょう。また、5歳ごろからの中年期以降になると、より詳細な術前検査が必要になる場合があり、手術や麻酔に対するリスクも高くなってきます。そのため、できるだけ早いうちに手術を行うことをおすすめしています。
手術の所要時間
猫 去勢 1分~3分 手術後2時間程度で当日退院可能
猫 避妊 15分
犬 去勢 5~10分
犬 避妊 20分
よくある質問
Q.手術を受けると太りやすくと聞くのですが、本当ですか?
太りやすくなる子が多いですが、規則正しい食事、適切なカロリーコントロール、運動などで対応することができます。
Q.性格が変わってしまうことはありますか?
攻撃的な行動が減り、温和で従順になる子が多いですが、その子本来の性格が劇的に変化することはありません。去勢・避妊手術の獣医学的メリットは、デメリットをはるかに上回ります。不安なことがありましたら、何でも当院にご相談ください。
Q.麻酔は危険ではありませんか?
20年以上前までは、動物の麻酔を静脈や筋肉内に投与する「注射麻酔」を行うことが多くありました。このような麻酔方法で手術を行う場合、動物の呼吸状態を安全に維持することが難しい、麻酔の深さを調節しにくい、などということもあり、麻酔に関わるトラブルがありました。
ですが現在では、麻酔薬や麻酔方法(吸入麻酔)進歩、麻酔中の動物の状態をより詳しく知るためのモニター機器、麻酔技術そのものの進歩などにより、麻酔中の事故は大幅に減少しています。
当院では、高度な技術を有する麻酔担当獣医師が手術中の麻酔を行います。また、各種麻酔モニターなどを使用して、不測の事態にも迅速に対応できる体制を整えて手術を行います。さらに、どんなに簡単だと思われるような手術でも、常に麻酔医・執刀医・助手・補助など数人の獣医師・看護師で行い、人為的事故が最小になるよう努めています。